リコリースは日本では甘草とも呼ばれています。
その歴史は、紀元前までさかのぼります。古代エジプトでは、ファラオや王族の人達の飲み物として
愛用されていたようですし、イスラム教の教祖マホメットの墓からは、大量のリコリースが出てきた、
という話もあります。アレキサンダー大王やローマ帝国のシーザーたちも、戦いのための行進のときにリコリースの飲み物でのどを潤し、力を養っていたそうです。
また中国の仏教関係者やインドの哲学者たちは、リコリースを薬として早くから用いていました。
リコリースで特徴的なのは、甘草という日本名にある通り、とても甘いということです。そのために3000年以上もの長い間、飲み物として愛用されてきましたし、最近でも飴やガムなどのお菓子に用いられています。飲み物では、ルートビア(ハーブが何種類か入ったソーダで日本以外では、比較的人気がある飲み物です)の中にリコリースが含まれていることがよくあります。
リコリースの学名もギリシャ語で、“甘い根”という意味なのだそうです。その甘さは砂糖の50倍と
言われ、リコリースが入っていれば、砂糖を添加する必要は全くない訳です。
リコリース(甘草)をのど飴の成分として知っている方は多いのではないでしょうか?リコリースには、
のどの痛みや咳を柔らげる作用があります。この作用は、古くから、東洋医学、西洋医学の両方で長く利用されてきました。炎症を抑える有効成分としては、グリチルリチン酸が抽出されています。
その他には、胃や十二指腸潰瘍を改善する働きもありますし、風邪や感染症、疲労を改善するために用いたり、男性の強壮剤や女性の婦人病の治療薬としても用いられてきました。
また、アレルギーを改善する作用もある、といわれていますが、この作用に関しては、個人差が大きいと思います。
漢方薬としては、胃薬、去痰剤、抗じんましん薬、口内炎の薬、肝炎の薬、解毒剤等として用いられています。
また、肌をなめらかにしたり、皮膚の荒れを改善する働きがあるので、入浴剤としても用いられて
います。
このように多種多様の効果を持ち、とても長い間、私たち人類に貢献してきたリコリースですが、最近では、前立腺ガンや乳ガンの増殖を抑える、という研究結果が発表されたりして、さらに私たちの生活に役に立つ効果が発見される可能性もあります。これからの研究結果がとても楽しみなハーブの1つです。
適応は、風邪、咽頭痛、咳、口内炎、胃炎、胃十二指腸潰瘍等です。また、リコリースが入っている甘い飲み物や飴、ガムなどのお菓子には通常砂糖が不必要なため、糖尿病の方が召し上がっても安全な甘味料と言えます。ただし、以下のような副作用を認めることがありますのでその点には、十分に注意しましょう。
副作用:
1. 副腎皮質ホルモンに似た作用があるため、体内に余分な水分を貯め、血圧を上昇させてしまうこと があります。以下の方はご使用前に医師に相談されることをお勧めします。
緑内障、
高血圧
心臓病、心筋梗塞、狭心症、
腎機能障害、肝機能障害
副腎皮質機能異常
などの既往症のある方
また、健康な方でも、リコリースを多く摂取しすぎると、体内に水分が貯留して、足首がむくんだりする副作用を認めることがあるので、多く採り過ぎないようしましょう。
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